操上さんの写真、 こづえさんのロゴマーク。

 
「気仙沼ニッティング」のファーストモデル、
MM01の写真撮影は、操上和美さんにお願いしました。
そして、プロジェクトのロゴマークは、
ひびのこづえさんによるデザインです。

「このおふたりでなければ」と考えたのは糸井重里でした。
その糸井から、おふたりのご紹介を、あらためて。

 
 
  

カーディガンにした理由

操上和美さんといえば、
広告の世界では最高峰みたいな写真家ですから、
まずは、いちばん頼みたい人なんです。
特に今回は、できあがった「編みもの」そのものに
すべてを表現してもらいたかったので、
モノを撮るだけで説得力のある写真がほしかったんです。

背景もモデルも、他の小道具もなしで、
三國さんの編んだカーディガンだけが存在している。
なのに、そのカーディガンと対面して
ながいこと話ができるような‥‥写真がほしい。
そんな注文をして、
「よし」と胸を叩いてくれるような写真家として、
ぼくは操上和美さんしか思いつきませんでした。
そして、ご自身がとてもお洒落で、
ファッションも大好きな人だということも思い出しました。

断られたら、すぐに引き下がるのが、ぼくのやり方です。
でも、三國万里子さんの編みもののために、
最善の道から歩き出したいじゃないですか。

「わかりました。一回、打ち合せしよう」

答えが電話の向こうから聞こえてきたとき、
もう、写真はできたも同然だったと思うのです。
そして、さらに、撮影された写真を見たとき、
関わったみんなが、口々に言いました。
「ほんとの自信が持てるようになったね」と。
                 ───── 糸井重里

操上和美 KURIGAMI KAZUMI

写真家。
1936年、北海道富良野市生まれ。
1961年、東京綜合写真専門学校卒業。
1962年から杉木直也に師事、1965年にフリーランスとなる。
日産「フェアレディZ」、サントリー「オールド」など、
時代を代表する数々の広告写真を手がける。
広告写真以外では、井上陽水のCDジャケットや
ツアーパンフレットの撮影も。
2009年には初の映画監督作品、
『ゼラチンシルバーLOVE』が公開された。

Kazumi Kurigami Official Site


知的でありおおらかさがあるということ。

実は、『気仙沼ニッティング』のロゴマークは、
どういう方向のものになるのか、
かなり長い間保留中だったのです。
編みものとしての第一号ができてくるまで、
ということが最初の待ち時間でした。
どういう会社に育っていくのか、
人びとにどんな気持ちで製品が見られるのか、
最初のセーターが見えるまで、決められない。
方向性は、それこそ360度ちがうと思うのです。

さらに、最初のカーディガンができてきても、まだ、
あっちの方向、こっちの方向と、ぼくらは悩んでいました。
で、ここらでさすがに「間に合わなくなっちゃう」と‥‥。

まず、どういうことが必須条件かを考えよう。
絶対にほしかったのは、「知的」であることでした。
手で編むというのがこの仕事の根本ですから、
おおらかさとか、たのしさとかも大事なのでしょう。
でも、それが知的な領域にいないといけない。
直感的なだけだと長い時間の流れに耐えられません。
そうかといって、理知が立ってしまっては、
毛糸やら手編みやらのおもしろさが失われてしまう。
そう考えていたとき、デザインのイメージよりも先に、
「ひびのこづえ」さんという人物が浮かんだのです。

そしたら、そしたら‥‥ちゃんと。
知的で、あたたかい、広々としている。
そんなロゴマークが、できてきたわけで。
しかも、ひびのさんは、このデザインの意図を
よく効果的に高い水準で表現するための
パートナーとして「ナガクラトモヒコ」さんに
呼びかけてくれていたんですね。
きらきら光る海のようで、
男たちが魚を漁る網のようで、
指先から魔法のように編まれていくニットのよう。
そんなロゴマークがつくってもらえました。
                 ───── 糸井重里

ひびのこづえ HIBINO KODUE

コスチューム・アーティスト。
1958年静岡県生まれ。
東京芸術大学美術学部デザイン科視覚伝達デザイン卒業。
コスチューム・アーティストとして
広告、演劇、ダンス、バレエ、映画、テレビなど
その発表の場は、多岐にわたる。
毎日ファッション大賞新人賞、資生堂奨励賞など受賞。
展覧会多数。
1997年に作家名を内藤こづえより、ひびのこづえに改める。

KODUE HIBINO OFFICIAL WEB SITE



ナガクラトモヒコさんのこと。

気仙沼ニッティングのロゴマークを作成するにあたり、
ひびのこづえさんは、
アートディレクターのナガクラトモヒコさんに
協力をあおぎました。

ナガクラさんに手がけていただいたのは、
フィニッシュワークの部分です。
こづえさんが描いたイメージに
どのように文字を組み合わせるかをデザインしたり、
適切な色を探ったりする重要なプロセス。
「ナガクラさんがいなければ、
 この仕事は私の力だけでは出来ないことでした」
と、ひびのこづえさんはおっしゃいます。

ナガクラトモヒコさんは、
「サン・アド」という会社に所属されています。
ちなみに、「ほぼ日」で
こんなコンテンツにご登場いただいた、
葛西薫さんも同じ会社にご所属です。

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